「下流老人」にならない対策は?

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 藤田孝典著『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』という本や、NHKスペシャル取材班『老後破産長寿という悪夢』という本がベストセラーになって、高齢者の貧困が一層、注目されるようになりました。  
 
 
 
下流老人」というのは、生活保護レベルの生活をしている老人のことです。 
「お金がないから病院にもいけない」とか、スーパーで弁当が半額になるのを待って、それを買うとか、もっとひどい人になると、「食事は一日一食、一回百円」という人まであります。  
 
 どうして、そういう下流老人になってしまうかというと、先の『下流老人』という本によると、原因は決まっていて、だいたい4通りです。  
 

(1)親が下流老人

 
 例えば、親が65歳で定年退職したあと、年金だけでは食べていけないとか、病気になってお金がかかったりして、下流老人になったとします。当然、育ててもらった子供は、親を援助しなければなりませんが、親が65歳であれば、子どもは40代でしょう。  
 
 40代前半の男性の場合、年収の平均は570万円です。 
ですが、子育てや住宅ローンで、支出も多い時ですから、年間の支出は平均490万円です。 
そうなると、残りのお金は80万。もしここから、親に毎月5万円の仕送りをすると、手元には20万円しか残らず、これでは老後の資金が貯えられません。  
 
 しかも、これは、まだ子どもが仕事を続けられる場合です。家族の介護のために、仕事を辞める「介護離職」をする人は、年間、10万人。 
しかも4人に1人は課長以上の役職者です。 
大事な、働き盛りの時に、仕事をやめてしまったら、老後の準備どころではありません。  
 
 このように、親が下流老人になると、子どもまで下流老人になってしまいます。 
これが、一つのパターンです。  
 

(2)子どもの問題

 
 次は、子どものために下流になるケースです。 
『下流老人』にある例では、ある77歳の男性が、48歳の娘のために追い詰められています。 
実は、その娘さんは、中学校の時に、いじめにあい、不登校になってしまいました。 
 
なんとか、短大を卒業させましたが、うつ病になってしまって、働くこともできません。 
48歳になるまで、病気のために一度も働くことができず、親がずっと生活費や治療費を出しているそうです。  
 
 年金だけでは苦しいので、家を売って、そのお金を使っています。 
自分が生きている間はよいですが、自分が死んだら娘はどうなるかと思うと、気が気ではありません。  
 
 だから、娘に「頑張って働いてみたらどうだ?」と言おうものなら、「こんな人間をどこで雇ってくれるのよ!」と逆ギレされてケンカになってしまうそうです。  
 
 それでもお父さんには、娘がこうなったのは、自分のせいだという思いもあって、このように反省をしていました。  
 

 
「正直、長女なんていなければよかったと思ったときも何度もある。 
こいつがいなければこんなに苦労することなんてなかったかもしれない。 
 
でも、中学時代にいじめにあったことを隠してきて辛かったのだと思う。  
私の仕事が忙しい時期で、十分に悩みを聞いて、相談にのってあげられなかったから。 
 
今なら、『無理して学校なんて行かなくていい』って話してやれるけど、当時は『学校に行きたくないなんて怠け者だ!』と叱責したそうなんだ。 
わたしは覚えていないんだけど、長女が繰り返しそんなことを話すからね」  
 
藤田孝典著『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(58頁)朝日新聞出版  

(3)病気になる

 
 三つ目は、まさかの病気になる、というケースです。 
『下流老人』に紹介されている69歳の男性は、62歳で退職したときは、退職金と貯金をあわせて三千万あったのに、たった7年間で消えてしまったといいます。  
 
 まず、この方は結婚せず、身寄りがなかったので、墓の準備は自分でしなければならないと思って、墓石や永代供養料に900万円、払ったそうです。 
さらに想定外だったのは、心筋梗塞に二回、なってしまったことです。  
 
 心筋梗塞は、日本人の死因では、ガンの次に多い病気で、三人に一人が亡くなるといわれています。 
心臓の手術は難しく、診察代や薬代が高くて、残りの貯金もあっという間に消えてしまったそうです。  
 
 この方は、健康だった自分が、まさか一年に二回も倒れるとは思ってもいなかった、まして生活保護を申請するようになるとは想像もしていなかったと言われています。  
 
 もう一人、『下流老人』にあげられているのは、かつて銀行員だった67歳の男性です。 
この方は銀行員でしたから、給料は良かったのですが、50代半ばから、得意だったお金を数える仕事が、うまくできなくなってきました。  
 
それで、そのストレスを家族にぶつけたために、娘は家出同然で出て行ってしまいました。 
感情の起伏が激しくなって、銀行からも早期退職を促されて、退職したのですが、せっかくの退職金を湯水のように飲み食いに使ってしまって、とうとう夫婦関係も破綻して離婚してしまいます。 
 
家賃も払えなくなって、アパートを追い出され、公園でホームレスになっていた所を保護されたのですが、実はこの人は、若年性認知症が進んでいたのです。  
 
 認知症の自覚がなかったために、このように生活が破綻してしまいました。 
高級取りといわれる職に就いていても、どんな病気でホームレスになってしまうか、わかりません。  
 

(4)熟年離婚

 
 長い間、連れ添っていた妻から捨てられてしまうのは、男性にとって致命的です。 
夫婦で30万円の年金をもらっていたのが、離婚して15万円ずつになると、夫は、その15万から家賃、光熱費、食費を捻出しなければなりません。 
 
ところが、家事は妻にまかせっきりだった男性の場合、月15万円で暮らすのは、ほぼ絶望的です。 
 
外食が多くなれば、栄養も偏り、お金もかかります。 
掃除もしないので、家は非衛生で病気になりやすくなり、医療費もよけいにかかるからです。  
 
 ですから『下流老人』の著者は「まず離婚しないこと、されないようにすることだ。 
とくに仕事一筋できたならば、なおさらだ」
とアドバイスしています(98頁)。  
 
 
 
 私たちは、いつ下流老人になっても、おかしくありません。 
しかも、下流老人の悲劇は、これだけは終わらないのです。  
 
『下流老人』の続編の、『続・下流老人』によると、下流老人になった人は、死ぬ直前まで働き続ける「過労老人」になるのです。  
 
 
 
 
 会社で30年以上、勤め上げた末に、50代でリストラになった男性が、その後、どの会社でも雇ってもらえず、70歳近くになった今、コンビニで時給900円で働いている、という例が書かれています。  
 
この男性は、一流大学を出て、会社でも重要なポストにいたのに、全く想定外のことだと言っています。 
 
70歳までバリバリ働くつもりだったのに、どの会社からも必要とされなくなり、アルバイトをしながら住宅ローンをあと四年も払い続けなければいけないそうです。  
 
 では、このような下流老人にならないためには、どうすればよいのか。 
『続・下流老人』で、著者は、こう答えています。  
 

 
「『下流老人にならないためには、どうすればいいんですか?』  
 
前著の発刊後、全国を講演で回る中で、最も多く聞かれた質問がこれだ。 
(中略) 
あえていう。今の社会で、絶対に下流老人にならない方法は存在しない。」
 
 
『続・下流老人』(212頁)藤田孝典 (著) 朝日新聞出版  

 
 なぜ下流老人にならない方法がないのかというと、誰も、自分が下流老人になると思っていないからです。  
 
「私は、大丈夫。下流老人になるのは、怠け者だ。私は、健康だし、働き者だし、こんな仕事に就いている。私は下流老人にならない」と思っている人ばかりだから、「何らかの事情で、生活に困った人を助ける仕組み」が、存在しないのです。  
 

そらごと・たわごとの世界に本当の幸せがある

 しかし実際は、私たちがすがって頼りにしているものは、海に浮いた丸太ん棒のようなもので、思わぬ方向から波がやってきたら、クルリとひっくり返って、塩水を飲んで苦しまなければなりません。  
 
 親鸞聖人は、私たちがすがっているものは、すべて、例外なく、裏切っていくものばかりなのだよ、と教えておられます。  
 
 それが「万のこと皆もって そらごと・たわごと・真実あること無し」というお言葉です。  
 
 私たちは決して、すがった丸太ん棒に裏切られて、苦しむために生まれてきたのではありません。 
親鸞聖人は、絶対、裏切られない、大きな船があると断言されています。そして、その大船に乗れば、どんなことがあっても変わらない「絶対の幸福」になれると教えておられます。  
 
 この絶対の幸福こそ、全ての人が求めて止まない「人生の目的」なのです。  
 
 
 
 
 
 
 

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