GDPが6倍でも幸福度は横ばいという衝撃 その理由と解決の鍵

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こんにちは、旅夫です。  

前回、年収1兆円の世界的大富豪と、年収8万円相当のマサイ族(アフリカの遊牧民族)との幸福度は、わずか0.4ポイント差しかないことをお話ししました。  

年収8万円と1兆円 幸福度の差、わずか0.4の謎 マサイ族と富豪
最近、心理学によって幸福の研究が急速に進んでいます。 ある著名な心理学者は様々な地域の人びとに対し、人生の幸福度を7点満点で採点し...


心理学界のインディ・ジョーンズといわれるロバート博士の研究により、お金や財産は有っても無くても幸福度ほとんど変わらないという恐ろしい結果が出てしまったわけです。  

一体なぜこのようなことになってしまうのか。  

今日は、その謎に迫ってみましょう。

あなたの日常にも、この問題は潜んでいます

もしかすると、前回「大富豪と遊牧民族」というあまりにも極端な対象でお話ししたので「これは特別な例で私には関係ない話だろう」と思われたかもしれません。  

しかしこのことは、大なり小なり日常の様々な場面で見られることなのです。  

ああなったら幸せだろう、これを手にすれば満足だろうと思って手にしたところが、「あれ?」「こんなはずでは」となる事例は日常の中にもあちこちに見受けられます。  

例えば……
  • 好きで部活を始めたはずなのに、一番うれしいのは部活が休みの日だったりする


  • 犬を飼いたくてたまらなかったのに、実際に飼ってみると散歩や糞の始末が苦痛でしょうがなくなっていた


  • 念願かなって一流大学に合格したが、まわりがエリートすぎて居場所がなかった


  • 注意される側の部下は注意する側の上司をうらやみ、責任のプレッシャーにつぶれそうな上司は気楽な部下をうらやむ


  • とにかく誰でもいいからパートナーが欲しいと熱烈に婚活をし、やっと結婚できたのに、数年後は離活(離婚活動)に懸命になっている


  • 子供のころは宿題がない大人になりたいと思っていたが、大人になると夏休みがある子供がうらやましくなる


  • 夏になれば冬がいい、冬になれば夏がいい


  • お金がないと、あれも買えないこれも買えないと不満だが、お金がたくさんあると盗られはせぬかと不安


  •     
  • 家にいる時は「旅行に行きたい」と思い、旅を終えて帰宅すると「やっぱり、わが家が一番ね~」となる


などなど  

あなたにも思い当たる節がありますでしょうか?  

たけしもこんなことを語っています。


ある程度お金も取るようになって、ある程度ねえちゃんにもモテるようになってさ、一体これなんの意味があるんだろうって思うじゃん。  

下手すっと、俺はこんなものを手に入れるためだけに生きていこうとしたのかなっていう、すごい変な感じになっちゃって。  

  (中略)    

でも、生まれて、貧乏な家庭に育って、漫才やって売れないときは、なぜ死にたくないかっつったら、とにかく金稼がなきゃいけねえし、女にモテたいし、美味えもん食いたいし、いい車に乗りたいしとか、その程度のことで生きようとしたんじゃないかと思うね。  

でも意外にそれが手に入っちゃうと、なんだよこれって。  

俺、なんで生きてんのかなと思うことあんじゃない?  

だから、ほんと、そのへんがよく分かんねんだよ。 
で、そうなっと余計、考えちゃんだよ。


北野武 | 2008年05月発売

   北野武『孤独』 出版社SBクリエイティブ  



格言、名言、川柳にも多数みられるこの実態

ノーベル文学賞を受賞したバーナード・ショウ(George Bernard Shaw 1856 – 1950)は、ある劇のシナリオにこういうセリフを織り込みました。  


人生には二つの悲劇がある。 
一つは願いを失うこと。 
もう一つは願いが達せられること。


There are two tragedies in life.  
One is to lose your heart’s desire.  
The other is to gain it. 
バーナード・ショウ『人の超人』(4幕)  


   
    バーナード・ショウ



江戸時代の川柳にも、あります。  


壁一重(かべひとえ) 子有って泣き 無くて泣き

江戸の長屋では壁一枚へだてて夫婦が住んでいる。片や、貧乏人の子だくさんで泣いているかと思えば、もう片方では、子宝に恵まれぬ寂しさに泣いている。  

世界一評価の高い映画の中のセリフにも…… 

世界の映画監督が選んだ映画No.1は、日本の作品だったことをご存じでしょうか?  

10年に1度行われる「映画監督が選ぶベストテン(2012年)」で第1位になったのは、小津安二郎(おづやすじろう)監督の『東京物語』でした。  

 
  ちなみに、右の老人(72歳の設定)を演じた笠智衆は当時48歳!

非常に日本的な映画と思われがちなこの映画ですが、実はアメリカ映画『明日は来らず』(レオ・マッケリー監督)を下敷きにしています。  
小津監督は、洋の東西を超えた普遍的テーマを描き、世界トップクラスの映画監督たちを感動させたのです。  

そのテーマが「家族」。  

故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦(72歳と68歳)が、成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯で、あまりかまってもらえない。  

家でひとり侘しくたたずむ父親を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつに数えられています。  

主人公である父親が、こう語ります。  


子供っちゅうもんは、おらんとおらんで淋しいし、おりゃおるで段々親を邪魔にしよる。 

二ついいことはないもんじゃ。


  

   『東京物語』監督:小津安二郎 脚本:野田高梧、小津安二郎  
         製作:山本武 製作会社:松竹大船撮影所 配給:松竹 


ちょっとした一言のようですが、それぞれに思い当たるところがあったのでしょう。並み居る世界の映画監督たちはグッときたのです。  

そして、経済の世界でも……  

収入が6倍になっても幸福度はまったく変わらない

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か』という本に一人当たりの実質GDPがいくら上昇しても生活満足度が上がらないという恐ろしい結果が発表されました。  


『幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か』 
(ブルーノ・フライ、アイロス・スタッツァー著 ダイヤモンド社)  

上のグラフをみると、収入は6倍になったのに、「幸福度」は見事なほど横ばいです。 
著者によれば、これは日本に限ったことではないといいます。  

収入を6倍にするのは大変です。 
働いて働いて働いて、頑張って頑張って頑張って、さらに状況にも恵まれてやっと達成できるかどうかでしょう。  

その願いがかなってもこの結果とは……。  

(※だからといって決して文明の進歩が無意味といっているのではありません。 
  話が複雑になりますので、そのことはまた別の機会に詳しくお話しいたしましょう)

この人類の実態を2600年前、わずか漢字四字で表した偉人があった


人類の歴史は、無から有への努力と言い換えることもできるでしょう。 
しかし本質的には、右肩の荷物を左肩に移す努力だったのかもしれません。 
これでは、幸せに感じるのはほんのしばらくの間だけになってしまいます。  

この現実を、お釈迦さまは、こう教えられました。  

有無同然(うむどうぜん)

  釈迦『大無量寿経』  

無ければ無いことに苦しみ、有れば有ったでまた悩む。

無い人は、鉄の鎖で縛られている。  

有る人は、金の鎖で縛られている。  

縛るものは違えども、縛られているという点では、同じだ、ということです。 
有る人には「有る」という苦しみがあるのは先にお話ししたとおりです。 

このことを2600年も前に見抜かれていたお釈迦さまは、今日、世界の四大聖人の一人に数えられています。  

さらに、お釈迦さまは……


お釈迦さまは、有無同然の実態を明らかにされただけではありませんでした。  

その原因をも教えられていたのです。  

それは何でしょう?  

お釈迦さまは、この根本原因は「己の暗い心にある」と喝破されます。

熱病の人は、どんな山海の珍味も味わえないように、心の暗い人は、どんな幸福も味わえないと説かれているのです。  

この暗い心を仏教専門の言葉で「無明の闇(むみょうのやみ)」といわれます。  

仏教には、無明の闇とはどういう心なのかが詳細に説かれています。  

(無明の闇は、欲や怒りやねたみなどの煩悩とは別です)  

無明の闇が晴れたなら、あらゆるものは、有ってよし無くてよし、お金も財も地位も名誉もすべてが本当の意味で輝きを放ち、生んで育ててくれた親に心から感謝の心があふれてくるのです。  

この無明の闇が破れたことを『正信偈(しょうしんげ)』という仏教書には  


無明の闇が破れた |破無明闇(はむみょうあん)

                親鸞聖人『正信偈』  

と書かれてあります。  

かなり専門的な内容ですし、ちょっと想像を絶する領域に入ってきましたので、今日は、有無同然・解決の鍵は仏教にあることまでをお伝えし、さらに踏み入った内容については別の機会にお話しいたしましょう。  

それではまた。  



前回の記事をまだ読んでおられない方、もう一度読み直したい方はこちらからどうぞ。 
   ↓  
年収8万円と1兆円 幸福度の差、わずか0.4の謎 マサイ族と富豪
最近、心理学によって幸福の研究が急速に進んでいます。 ある著名な心理学者は様々な地域の人びとに対し、人生の幸福度を7点満点で採点し...




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コメント

  1. 藤岡 正人 より:

    そうですね 僕自身も 満州からの引揚者で 親も僕も 離婚しまして 決して他人の目からは 幸福には見られていないと思いますが 92歳の 親を介護してますし 大変です。 まあ 本人の気分の問題でしょうねぇ
    滋賀県の親鸞会に所属しております。